「『エヴァ』の同人誌はなぜ「ヌけ」ないのか」問題。

いや〜、大学の(先輩たちの)卒業祝賀会でこんなことを皆の前で同意させられるとは思わなかったよ(笑)


この話題が出た経緯を再構成してみますと、


「今週の(このエントリーでは先週にあたる)、『トップをねらえ! 合体劇場版』観たんだけど」


と、親しい先輩に聞かれたことから始まり、


私「『合体劇場版』は結局観なかったんですけど、以前に両作品は観てますんで」
先「(無印)『トップ』の下手さ加減はあんまりというか……」
私「確かに、ラブコメのところは許容の範囲を超えた酷さがありますね!」
先「それもそうなんだけど…… 改めて思ったのが、貞本義行の絵は「線」に魅力や力があるけど、記号的な「エロ」…… 「ヌく」ための「エロ」が不足しているなぁ、と。たとえば『トップ』の風呂で女性キャラがヌードになったり、終盤でヒロインが文字通り「トップレス」になるけど「エロ」くないよね」
私「う〜ん、そうですね」
先「今時の「萌え」を取り込んだ、『トップ2』もそうなんだけど、ノノ・リリがコスプレしようと下着オープンなファッションになっていようと、「エロ」の文脈から貞本キャラはどんどん脱線していく」
私「貞本キャラを使っているアニメの作り手も意識的に「エロ萌え」させないようにしているようですけど。本質的に、貞本さんの絵は「エロ」くないんですね」
先「ラディカルにいうとそうなってしまうのだけど…… (別の同期生に向かって)だから『エヴァ』の同人誌は「ヌけ」ないんじゃないかなぁ」
私「そうですねぇ……」


同席していた皆の衆「(笑)」


と、酒の席で出た、非常に飛躍に跳んだ恥ずかしい話の流れです(笑) (わかり易く加筆している部分もありますが)


後日、このエントリーで「『エヴァ』の同人誌はなぜ「ヌけ」ないのか」について考えてみたのですが(笑)、

1.貞本キャラは本質的に「ヌく」ための「エロ」が欠けている。
2.『エヴァ』同人誌の作者の大半が、「ヌけ」ない漫画(絵・ストーリ)を描いている。
3.『エヴァ』の作品世界を、同人作者が昇華(「ヌく」ように作品世界を換骨奪胎するなど)仕切れていない。または困難である。
4.読者と同人作者が思う、『エヴァ』の「エロ」が一致しない。読者の中にある『エヴァ』が、同人作者の『エヴァ』を拒絶するため。


とりわけ、4.が大きな原因になっているように思われます。


ところで、アニメ(ここ重要!)『エヴァ』が「エロ」くない(貞本氏の絵の特性を差し引いても)、なんてことはありません。


暴走エヴァを描かせたら天下一品のアニメーター:本田雄さんの、アスカ初登場時の、ひらりと舞うワンピースとボディーラインとか、平松禎史の肉感的なミサトさんであったり、摩砂雪さんがカオル君の眼鼻カタチを素晴らしく仕上げてしまったことは忘れられません。


ただ、人によっては、リツコさんの高校時代の写真に「エロ」を見出したりするわけですから(うん、よくわかる(笑))、『エヴァ』の「エロ」は観る人によって差が出てきてしまいます。


さらに、当たり前ですが、『エヴァ』は「エロス」を作品に取り込んでいるとはいえ、「ヌく」ための「エロ」を主軸に置いた作品ではないのです。劇中で、シンジ君と共に視聴者もそのことについて裁かれてしまいますしね。


ですから、読者・同人作者は『エヴァ』のキャラに対する欲情は持っているのですが、『エヴァ』という作品自体を知っているがゆえに、自己の中に倫理というATフィールドを作ってしまい、『エヴァ』の同人誌で「ヌけ」なくなる事態をうむのです。


が、しかし、例外があります。


エヴァ』の作品自体を知らずに(徹底的に忘却して)、パーツ(スタイル・性格)としてとらえ「動物的」に萌えること、「脱構築」してしまうことを、読者・同人作者が行う時です。
(おそらく、読み手も書き手も気兼ねなく楽しめる題材は「格闘ゲーム」のキャラではないか)


エヴァ』に限らず、他のアニメ・漫画・ゲーム作品、はてはエロゲーでも起こり得ることで、徹底的な「脱構築」が読者・同人作者の間で出来ていないと、「ヌけ」ない事態に直面するというか、オ●ニーは自己のチューニングで面倒見てくださいと言うしかない(爆)


別記
「『エヴァ』の同人誌はなぜ「ヌけ」ないのか」問題が2次元業界で常に孕み続けるために、「エロ漫画」というフィールドの需要があるし、エロ漫画家たちの「テクニック」が同人の世界で重宝されるのだった(笑)