そのうち「ユリイカ」あたりで特集組んであげてもいいセンスDa☆

現代小説の方法

現代小説の方法

 

物語の中に刷り込まれる〈彼方〉のものについては、さっきの、蛇について話しましたが、これを音と蛇ということから考えていただくいいと思います。音と蛇、異界からここに侵入してくると突然面白くなるもの。物事が全部かわってきて、組み変えられ、おもしろくなる。音=蛇と取って頂いても結構です。物語の上で蛇が現れると、これは何かのトーテム、ひとつの部族のシンボルとして、作者の意識などと関係なしに隠され眠り込んでいるものが出てくるかもしれませんね。
 かつての我々の中の異族、(略)、鉱物的イメージ、あるいは溶岩がグワーッと流れてくる。(略) そういうものが、我々の物語の中に、作者の意思と関係なしにパックされてるということじゃないか。パックというのは、かつてあったものが突然ワープして、今、溶け込んできているということなのではないか。そういう異界のもの、そういうエントロピーのようなものが、我々を楽しませ、我々の行き詰まった思考をひっくり返して、新しい発見をさせてくれる、そういうものなのではないかと思われるのです。  (中上健次 『現代小説の方法』)

この一文からいろいろと『MGS4』について思うことがあって、『MGS4』は「蛇」を「空」(ブリーフィングにおいて「空」は煉獄として描かれている)から地獄と化した「地」へ解き放つ往復運動を物語の構造に組み込んだ時点で、物語に揺るがない強度を得たのではないかと思った。