『マクロスFrontier』 第11話 「ミッシング・バースデー」

マクロスF (フロンティア) 2 [DVD]

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〈三行あらすじ〉
お父さんは勘当やめます、新アイドルは苦いクッキーでスイートタイム、旧アイドルとは仕事で空の旅。
さて、三択に迫られた青年の決断とは…
やっぱ、誕生日はバッくれて、飛んでけ〜


〈見所〉
●サブタイの邦訳は「勝手に逃げろ/誕生日」
●地元のアイドルは持ち上げ甲斐があるね。広告ディスプレイの占拠率は4:1でランカが圧勝。
●三島とキャシーのしょうもない会話の外で、キャシーパパ(大統領)が疫病問題は問題ないとテレビで記者会見。
●ランカはケータイ弄っている暇がないぐらい忙しい。
シェリル暇人説が話題に上がる前後のルカ君は、ナナセにニコニコ(ナナセは気づいていない)。
●ミシェルとナナセはトライアングラー(アルト・シェリル・ランカ)のフォローに徹する。彼らが爆発する日はいつ?
ガリア4駐在ののゼントラン部隊はかなり柄が悪いらしい。
シェリルの特番はすでに放送済み。ルカ君はLAIとかいうコングロマリットの御曹司だそうだ。
●ただ寝ている嵐蔵に病気だとナレーション。矢三郎(『アクエリオン』の三本の矢の話を思い出す名前)、そんな大嘘ついちゃアルト君説得できないって。
●ランカの景気づけから、アルトに本気モードへ変化しているシェリル。体も心もファイアーボンバー
●VF-27の整備はLAIが絡んでいるのかぁ。母艦は無いのか?
●三島にとってシェリルは「フェアリー」。
●クランのビックでロリでサービス。シャワー室のしがみ付きを見ると、身長は低くなっても馬鹿力がありそうだ。
●ナナセはランカにハッパがけ。クッキーのレシピを教えたのも彼女。
●回想シーンに写っているアルト母?はもう亡くなっているのだろうか。
●久しぶりの紙ヒコーキは壁にぶつかるだけ…
●「人は叶わぬから夢を見るのか、叶わぬから夢なのか…」(by矢三郎)飛ぶことと自由になることを混同するアルトそのものを表した台詞。
●「永遠の17歳」の裏の顔がようやく視聴者の前で重なる。
●ランカの切ない「ハッピー・バースデー」のつぶやき。『アクエリオン』の「食べ過ぎて合体」を連想させ、『アルジュナ』の最終回を思い出させてしていろいろと感慨深い。

〈雑感〉
アルトにとっての紙ヒコーキは、常に上空で柵ももなく飛び続ける「静止した時間」へのイメージが託されているような気がする。
「静止した時間」ではじめて自らをサルベージすることができるはずだ、とも思っているのかもしれない。
大気があるガリア4で紙ヒコーキで思い浮かべたように飛びたいと、アルトは断層を孕みながらも循環を止むことのない箱庭=「マクロス・フロンティア」から脱した。
しかし、そこではマクロスに因縁浅からぬゼントラン部隊という障壁が待っている。
「静止した時間」は存在しない。断層と循環は二元論的に対立するものでもない。断層に曝されてもなお、その影響を受けながら循環しようとする物事があるだけだ。
そのことに気がつかないアルトは、自らの輪郭が定まらないまま無自覚に他者を傷つけていくことになるのではないか。
しかし一方で、アルトの軽率な行動で傷つけられたように見えたランカは、逆にアルトへの思い、自分の気持ちに形をあたえるようにして「ハッピー・バースデー」を口にする。
感染症などの問題によって『マクロスF』の世界は「悪循環」に向かいつつあるように見えるが、物語が展開される画面にはそれだけでは回収されない断層が現れ、新たな循環を形成する芽生えが始まりつつある。